16強進出

決勝トーナメント進出をかけて戦った日本-ポーランド戦。0-1の敗戦だったが、辛くもフェアプレーポイントの差で決勝トーナメントへの切符を掴んだ。

だが、こんなにもダサいサッカーを日本がしてしまうとは。切ない。

予選リーグ全48試合中、最もひどい試合だった。これまではソン・フンミン以外全員技術不足、ラフプレー連発の韓国がワーストチームであったが、それを日本は軽く超えた。まさか残りの10分を攻撃放棄し、後方でひたすらボール回しをするだけに徹するとは。。。

監督と選手の声。

西野監督

-最後の選択は

非常にこう、厳しい選択。万が一という状況はこのピッチ上でも考えられましたし、他会場でも万が一があるわけです。選択をしたのは、そのままの状態をキープすること。このピッチ上で万が一が起こらないよう他力の選択を選んだ。負けてる状況をキープしている自分、チーム、本意ではない選択をしている。他力を頼っている我々…。非常にシビアな状況だったと思う。最終的にこのまま、このままでいい。選手たちがいかなるブーイングに負けず、実行した。

自分の信条からすれば不本意です。ただ、W杯はそういう戦いもあって、それの選択が正解と出れば、それは勝負に勝ったということとチームとしても思いたい。そういうサッカー、フットボールもあっていいのかと初めて、W杯、グループステージを突破する中での究極の選択。自力ではなく、他力を選んだのは少し後悔はあるかなと。プランがなかった中で、迫られて選んだ選択。今までのアグレッシブな戦いに、何か運がついてくれたか、微笑んでくれたか。選手たちにブーイングを浴びせながらプレーさせてしまった。これから選手に、いろいろ伝えたいなと思います。

-どう伝えたか

前半終わって0-0で両会場。我々も動かなくては、と選手にハーフタイムに伝えた。アグレッシブに、攻撃的に、勝ちに行く、そのスピリットを持ってピッチに出てくれと伝えました。

失点した。攻撃的にいくカードを切る、他会場が動いた、なおかつ攻撃的に入っていく。ただ、時間がたって、他会場が動いた。時間が経過する中で、自分の選択が変わった。

長谷部には、ハイリスクでなく、イエローカードまでの指示をしました。こんな状況は今までないです。時間を刻む中で、このままでいいと伝えろ。長谷部の投入、メッセージは、ある程度このままをキープしろ、0-2だけはなってはいけない。(時間が)刻まれていく中で、そうなった。長谷部の投入がすべてでもあったということは、間違いない。

-難しい選択だったが

自分のスタイルは皆さんどう感じてられるか。攻撃的というか、強気というか、強い選択を選べと選手にも、このシリーズ伝えた。上がっていいのか、ステイなのか、それは上がっていいんだと。強い選択をつねに選手には伝えてゲームに臨ませてきた。それが好転していくゲームの中で、今日のようなゲームは、こういう(静かな)トーンになりますね。あのゲームの敗戦ということを考えると、それは不本意です。ただ、ステージを上がれた。そこだけですから、救いは。

 

本田圭佑

出てる選手はストレスがたまった内容と結果。でも、結果が大事で僕らにとっては予選通過が目的だったので。想定内でしたし、非常にポジティブな結果だったと思います。

すごいリスクを西野さんが取りに行った。個人的にはすごい結果的に素晴らしい采配だったなと思っています。僕が監督でもこの采配はできなかった。結果がすべてだと思いますし、本当にすごいなと今日に限っては思いました。

サッカーってエンターテインメントでしょ。そういう意味では結果主義じゃダメ、と僕はずっと思っているんですよ。でも、結果を出さないと誰も俺の発言を聞いてくれない。俺は結果だけを追い求めてきているんですけど、本当はダメなんですよ。本当はいいサッカーしてナンボなんですよ。ブーイングを送っていた、面白いサッカーを見たかったファンには申し訳なかったと思う。でも勝たないと、次に進まないといいサッカーをしてファンを喜ばせることもできないという意味では、理解してほしいなという風には思います。

 

長谷部誠

他会場の結果を伝えて、後ろはとにかく失点するな、あとはイエローカードに気をつけろと言いました。僕にとっても初めてのケースだったし、本当に誰かが試合の中で決断しないといけない。それが監督だった、それをしただけだったと思います。もちろん僕が出ていた時に、セネガルがもし追いついたりしたら言ってくれとは言ってあったので、そうしたらもちろん行くってのはっきりしていた。

終わってから話をしましたけど、この世界は結果論なので。リスクは間違いなくあったというのは選手も終わって感じていた部分はありましたが、勝負に徹したと言うか、もちろんこれでセネガルが追いついていたら批判された試合の運び方だったと思います。サッカーの世界では色んな議論があると思いますけども、真実は結果の中にしかない気がします。

 

長友佑都

-ゲームの始まらせ方、終わらせ方は

結果的に最後の試合は負けてしまいましたけど、ただ目標はまずは決勝トーナメントにいくということだったので。チーム一丸となって最後まで戦って、最終的に進出できて良かったと思いますけど。

アディショナルタイムは長かった、短かかった

なかなかちょっと、難しい状況で。なかなか、サポーターの皆さんも、ちょっと難しい。見苦しい試合になったかもしれないですけど。最終的にはでも、僕たちの目標は前に進むというところだったので、それが達成できて、とにかくホッとしています。

 

監督と発信力のある選手のコメントは、概ね「本意ではないが、結果が全て。理解してほしい」である。

一夜明けて、各マスコミが報じるのも、この姿勢を評価したものが多い。

カズや川淵三郎も、その「決断と覚悟」を肯定し、称賛を送っている。

 

今大会から採用されたフェアプレーポイント。この差が勝敗を分ける局面になった時、この日の日本のような試合をするチームが出てくるという事である。個人的には、国同士の本気の戦いを楽しみにしているファンに、二度とあのような試合を見せてはいけないと思う。「フェアプレーポイントの差」というルールがある以上、そこに賭けて戦うというのは指揮官ならば選択肢の一つに入れるだろう。だが、観ている人たちにとって、こんなに後味の悪い試合はない。日本-ポーランド戦のラスト10分は、もはや、サッカーではなかった。

日本サッカー協会の理念には「常にフェアプレーの精神を持ち、国内の、さらには世界の人々と友好を深め、国際社会に貢献する」という一文がある。果たして、あの試合はフェアプレーであっただろうか。

ワールドカップは世界最大のスポーツイベント、すなわち世界最大の興行でもある。そのさなかで行われた無気力試合。興行の体をなしていただろうか。

もうフェアプレーポイントの差で勝敗を決するルールは廃止した方が良い。

 

西野監督の選択は

セネガルが追いつくかもしれない中で、コロンビアの勝利に賭け、日本は0-1を死守し、警告ももらわないようにして試合を終わらせる」

ことだった。

その理想的な方法は後方でボールをひたすら回し続けること。

幸い勝っているポーランドもこの作戦に乗っかってくれた。さすがは親日国家。

セネガルが追いつくかもしれないから、あくまでも得点を取りに行く。追いつけば無条件で決勝トーナメントに行ける。失点や警告のリスクはあるが攻め続けよう」

という手は打たなかった。

そうだった。私たちはサッカー弱小国だった。そんな強気な攻めが出来るわけなかった。本当に強い国はあくまで得点を取りに行って、しかも追いついちゃったりする。だが、私たちにC・ロナウドやメッシ、ネイマールはいない。他力だが、自分たちのできることはやりきろう。幸い、監督のギャンブル運は滅法強いのだ。

ここが今の日本の立ち位置。

二度とこんな反吐が出そうな思いをしないためには、強くなるしかない。

勝ち上がったからには応援する。もはや、ベルギーに勝ってあらゆる非難をはねのける以外に日本の名を高める方法は無いのだ。